のざらし

いち乳癌クラスタの、化学療法とオペと今後

抗癌剤のお勉強

抗癌剤が通常細胞より分裂活動のお盛んな癌細胞を先ず攻撃するらしいがどんなアタックかと云うと、昔習った生物の知識+αをお勉強しないと成らない。

※此の際もう其処はすっ飛ばすのでおかしい事云ってても「莫迦」で済ませて欲しい。

 

抗癌剤の働きは何らかの方法で(癌)細胞の息の根を止めるって奴だ。必殺仕事人か。

ある物は、細胞増殖時DNAの2本の螺旋をバラけさせなきゃ成らんのに其れをさせない→DNA複製できない→離し~た~くは~ない♪ エンド。(アルキル化剤)

又ある物は、核酸合成に必要な物質に似た構造の偽者(5位をフッ素化したウラシル)をくっつけてRNAの合成阻害エンド(代謝拮抗剤の一つ5-FU;5-フルオロウラシル)。

抗腫瘍性抗生物質だとDNAの塩基間に入り込むとかDNAの鎖ぶった切るとか、細胞の骨格を作るのを邪魔する(微小管作用薬)とか。

まあエグイのね。

って事だけは取敢えず分かる。患者的には其れだけ分かればもういい。

 

・・・其れだけではないな。副作用に関する情報は重要だ。

自分の場合CAF療法を2018/8/8時点で2回受けているが吐き気やら食欲減退やらは微塵も無い。副作用が出る=効いているではない(by主治医)為、出ないなら其れに越した事は無い。

 

副作用については別稿としたいので、此処ではタイトル通りに抗癌剤のお勉強に役立った資料を紹介して終わる。画像左側が表紙、右側が目次。

f:id:nozarashi197:20180808162828j:plain

(1)2018年版 もっと知ってほしいがんの薬物療法の副作用のこと

制作:NPO法人キャンサーネットジャパン

(監修:日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科 教授   勝俣 範之)

2018年7月作成、ニュースリリースの日付が7/24って事は出来立てほやほやだ。たまたま支援センターで貰って来たが、見出しが副作用別で説明も分かり易いのに薬剤の分類までしっかり詳しい。しかもウェブサイトからいろんな冊子がダウンロード出来る!すげい。血管外漏出や皮膚障害*1等、化学療法担当医から初回一度説明を受けて忘れそうな事にも触れられていて良かった。講座・認定試験は「?」って感じだが冊子アンケートの回答はしといた。

薬剤の血管外漏出についても漏出起壊死性、非起壊死性でも血管外漏出で炎症リスクがあるものなど、記述が細かくてホント良い。ドキソルビシン投与時「成るべく安静にする奴ですよね?」って外来化学療法室で聞いて「別に大丈夫よ~」って云った人居たな。いや駄目だろ。フルオロウラシルも漏出時硬結、炎症の可能性は有るそうで。入院時点滴しながら昼飯食ってたけどな。

一つ気づいた。コレ倦怠感に関する記述は一切ないので。

「病院や医療スタッフに連絡する様な状態」を把握する為の冊子です。

 

(2)QOL重視のがん薬物療法 : 薬理作用を考慮した副作用対策

出版社:nurse tools

著 者:爽秋会クリニカルサイエンス研究所 瀬戸山 修

発 行:2010/4/1

f:id:nozarashi197:20180808172325j:plain

実は始めにこっちを入手した。Amazonで中古ととんでもない価格の新品しかないから増刷していないんだろう。現に自分もたまたま偶然古本屋で入手した。表紙に「医療スタッフ必携」と有るしどちらかと云うと医療従事者向けっぽくて必要な所を調べながらギリギリ読んだ。でもすごく良い本です。本書に出会えて感謝してます。此れ読んだら5-FUが何でそんな名前か*2分かったし。理由が分かったら忘れないから。

アントラサイクリン系製剤の心毒性とか、タキサン製剤etc.の末梢神経障害とかも当然詳しく書いて有る。今後パクリタキセル使うので読んどかねば。投与が秋冬なので心配だし。

現時点で本書が一番役立ったのが、CAF療法で特に「投与週は良く水分を摂取し膀胱に尿を溜めず速やかに排泄せよ*3」と薬剤部に言われた理由が説明してあった事。

アルキル化剤のエンドキサン(シクロホスファミド*4)を投与すると投与後、肝臓による代謝で幾つかの物質が出来て、其の一つアクロレインと言うのが尿中に排泄され尿路上皮細胞に害を及ぼし出血性膀胱炎の原因となる、と言うのが分かった。アクロレインの名前覚えられないが。

あと元サービス業の末席を汚した者として、ポジティブフィードバック実行の精神により本書の感想を著者に送ったら、本当に即メールが来た。此れが一番驚いた。

 

外来での化学療法では、投与前の血液検査で血球数等のデータを知る事は出来るが、投与後の体調の変化や病院へ行くべきか否かは自分で知っとかなきゃならない。

自分は要りそうな情報をPDFや画像でiPadに突っ込んで居るが、知って軽減する不安も有るので、必要な方はまず上記(1)の資料を入手しては如何だろうか。

 

余談だがドクターは診療・治療也手術也が本分と成って来るし患者も多いし、何より医師だって人間だし、アセスメントの中でも患者の主観的な問題(重症ではないにせよ不快・不安さ等)までフォローするのは大変だし、自分の場合主治医と担当医がスーパードライなタイプなので其処は早々に諦めた。

問題や治療を受けている環境にも因るだろうが、寧ろ化学療法専任看護師や緩和ケア専門の看護師と上手くコミュニケート出来た方が余程やりやすいし、心理相談とか活用しても良い。何しろ長丁場だ。 

・・・長いよねー。うん。

 

 

*1:特に化学療法時説明無かった。でもCAF2回目投与後3日目位から腕の痛痒さみたいのが多少現れ、日光を避ける事と保湿で今はマシになっている

*2:5位をフッ素化したウラシルって奴

*3:排尿量の目安を聞いたら「2リットル/日」と云われた。又「夜間もできるだけ膀胱を空にする」と資料あり。「アルキル化剤による泌尿器系の副作用およびその対策」;生長会府中病院 薬剤部 小泉 祐一 →日本腎臓病薬物療法学会サイト内のpdf

*4:ナイトロジェン・マスタードの誘導体の一つ。ん、マスタード? ナイトロジェンマスタード化学兵器でお馴染みのマスタードガスの硫黄原子を窒素に置き換えた奴だってよ!